おとくに出身の5人組ロックバンド LOCAL CONNECT

メジャーデビューを果たした地元のヒーローたち…P2

2015年6月、メジャーデビューを果たす

p2_1 メジャーデビューを果たした、長岡京出身のロックバンドLOCAL CONNECT。メンバーは、Daiki(ボーカル&ギター)、ISATO(ボーカル)、まーきー(ギター)、しゅうま(ベース)、Natsuki (ドラム)の5人です。途中でメンバーに加わった地元後輩のNatsuki以外の4人が同じ高校の同級生。バンド結成のきっかけも、高校1年生の学園祭といいますから、まさに、私たちの地元のヒーローです。結成は、ほんの10年前のことですから、彼らの貴重な演奏風景を記憶している人も多いかもしれません。その時から、多少のメンバーチェンジはありつつも、着々と活動を続け、ついに昨年にはメジャーデビューを果たしています。メジャーデビューとは、メジャー・レーベル(レコード会社)からシングルもしくはアルバムを発売することを指します。彼らは、日本テレビ系のVAPから、昨年6月にCDアルバム『過去ツナグ未来』を、さらに今年6月、2枚目のアルバム『7RAILS』をリリースしています。昨年4月に、日本テレビ系で放送されたアニメ「俺物語!!」のエンディング・テーマに大抜擢されたことで、大きなチャンスを掴んだのです。
 現在は、全国各地のライブハウスをツアーし、「FM802/ MINAMI WHEEL 2016」といったライブフェスにも出演するなど、多忙な日々。ライブツアーを一緒に巡ってくれるというコアなファンも増え、手応えを感じるといいます。当面の目標は、大阪城ホールでの単独ライブ。その12,000席のチケットをSOLD OUTにすること! 「これからの2、3年で実現します」とDaikiがキッパリ言えば、「そりゃあ、10年後なんていってたら、むしろ可能性低くなるよなぁ~」「何歳やぁ~、おやじバンドやなぁ」とツッコむメンバー。彼らに与えられたチャンスは、けっして「無期限」なものではないことに、今さらながら気づかされます。明るくパワフルな彼らの言葉の中には、厳しい世界に身を置くことの緊張感や覚悟、そして、少しばかりの不安もギュッと詰め込まれている、そんな気がしました。

 

p3_1

LOCAL CONNECT の『過去ツナグ未来』ストーリー

p2_2 LOCAL CONNECTのはじめの一歩である高校生時代。これが意外と音楽三昧でもなかったりします。
 中学生のころから、歌うことが大好きでお祭りなどで歌っていたというボーカルのDaikiとISATOは、なぜだか、それぞれバスケ部と野球部に所属。ISATOはキャプテンまで務めたというから、堂々たる野球少年です。一方、楽器の腕に覚えのあるまーきーとしゅうまは、高校生になれば軽音楽部に入ってガンガンいこうと思っていたのに、なんと、入学した高校には軽音楽部が無い! 「軽音楽部を作ってくださいって嘆願書みたいなのを書いて先生のとこに持っていったんやけど、『そういうことは自分でやれ』って言われたんですよ~」とまーきー。「で、俺らは帰宅部ね」としゅうまがオチをつけると、Natsukiが「だから俺は、軽音楽部がある高校に行ったんやけど(笑)」。
とはいえ、軽音楽部のなかった高校で、LOCAL CONNECTの前身バンドが結成され、年に一度の秋の学園祭で拍手喝さいを浴びるというキラッキラの体験をしたことが、今につながっているのですから、人生とは愉快なものです。その先だって、それぞれが違う大学に進学したといいますから、それっきり…となっていても不思議はなかったのですが。まーきーが、「あの2人の声より、すごいって思う奴がいなかったから」と再結成を熱望し、本格的なバンド活動が始まりました。
かくして、楽しい!面白い!で突っ走れた蜜月の数年を過ごし、さあ大学を卒業するという年齢。それは、誰もが通る、自らの人生をどう創っていくかを模索し、否応なく決断を迫られる「時」の到来ということです。当然ですが、全員一致で音楽の道にまっしぐら、とはいかないだろうと想像します。
就職の内定をもらい、バンドを抜けると言ったのはISATO。人生にかかわる大きな決断だと考えれば、それぞれの決断を尊重すべしと「大人の配慮」をしてしまいそうですが、「ボーカルのISATOがいなくなれば、僕らも空中分解ですから。仕事しながらでもいいから戻ってきてくれって、説得しましたよ」とまーきー。人生において、「後先考えずに、なりふり構わずに動く」という瞬間があるのかもしれません。その時、その心に従える一途さが、運命の女神を味方につける妙薬にもきっと成り得たのでしょう。戻る決心をしたISATOは、その時の思いをこう語りました。「自分が抜けると言ったのに、今までにないくらい音楽活動に打ち込むメンバーの姿を見て、こいつらスゴイなって。じゃあ、自分が仕事するイメージは…、ちょっとサムイなぁ。俺、逃げてるんちゃうかって思ったんです」。
最初から、ミュージシャンの道しか考えていなかったというまーきーに、「自信と不安のどっちの気持ちが大きかった?」なんて、ちょっと大人くさく質問をしてみたら、彼は、「僕の生きる道はこれしかないって、感じかな」、そして、「腹くくるしかないでしょう!」と、とびきりの笑顔で応えてくれました。メンバーの、「ダナッ!」って笑顔に、不毛な質問だったと反省です。自信も不安もどっちも当然あり、それを全部飲み込んで、ただ前を見て進むことを決めたのでしょう。そんな若者たちは、本当にまぶしい。

LOCAL CONNECTの「幸せのありか」は…

p4_1 「LOCAL CONNECT」―「地元+つなぐ」。このネーミングをみても、彼らが「地元」を特別なものと位置付けていることが分かります。
 まーきーは、「僕たちはで同じ場所で出会ったメンバーだから、積み重ねてきたものを大切にしたい」とネーミングに込めた思いを語る中で、「ここしか知らなかったからかもしれないけれど、音楽より面白いこと無かったし、このメンバーよりもスゴイと思える奴っていなかったから」と言い、それを「視野が狭かった」と表現しました。普通はあまりポジティブな印象を受けない表現ですが、この言葉にLOCAL CONNECTというバンドの強みを見た気がします。自分たちの立つこの場所が、ド真ん中。そこで共に過ごした時間と場所を持つゆえの信頼感。確固たる場所があり、仲間がいるからこそ、どこまでもでも広がっていけるというが強さが持てる、という。
 ともかく、5人の結束の強さは、テッパンです。1カ月にもおよぶツアーに出れば、一つの車で移動し、ホテルも5人部屋なのだとか。「おとんやおかんよりも一緒にいる時間が長い」と笑います。有名な5人グループの解散劇が記憶に新しいだけに、人間関係はたいへんでは?なんていらぬ心配をしてしまいますが、「どんどん近くなっていく」と言うDaikiに、うなずく4人。ここまで積み重ねた仲間との記憶が、互いの絆を確認し、さらに彼らを強く結びつけたことが伝わってきました。
 作曲も作詞も、すべて彼ら自身が手掛けています。それは、主にはDaikiが担っていますが、創り上げる作業にはメンバー全員の思いをぶつけ合い、「これしかない」というところまで、みんなで持っていくといいます。Daikiは、「僕が作った曲を、ハイ演奏してっていうなら、この5人じゃなくていいじゃないですか。みんなで議論して、考えていくことに僕らの意味があるって思っています」と。そうやって創り上げられた音楽を、ISATOとDaikiによるツインボーカルと、その魅力を最大限に伝える、しゅうま、まーきー、NatsukiのバンドがいてLOCAL CONNECTがあるのです。『7RAILS』のラストに収録された「piece」は、ギターの静かな旋律から、透明感のあるISATOのボーカルにDaikiの声が重なっていきます。まさに、「引き込まれる」という表現しかできない魅力がありました。
 「メジャーデビュー」という大きな関門はパスした彼ら。所属事務所や巨大な資本のレコード会社が大きな力で後押ししてくれるという、千載一遇のチャンスの中に、今います。ここから、どこまで羽ばたいていくのか、ワクワクしながら見詰めていきたい! 目が離せません。

ライブインフォメーション
◆CONNECT YEAR 2016 延長戦!!
【〜京都戦〜】2016.10.05 [Wed] 京都 GROWLY 開場 : 18:00/ 開演 : 18:30
◆MINAMI WHEEL 2016
2016.10.10 [Mon] MINAMI WHEEL 2016 会場:大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上
◆CONNECT YEAR 2016 延長戦!!
【クライマックスシリーズ〜大阪戦〜】2016.11.03 [Thu] 大阪 2nd LINE ワンマンライブ 開場 : 18:30/ 開演 : 19:00 
p2_3  

【取材を終えて】
 ロックという音楽分野への感性に全く自信がありません。そんな私が「すごくいい!」ということ自体が、彼らに失礼ではないかという怯えのような気分もありました。「だから」と言い訳しますが、開き直り、「ロックの分からないおばさん」である私の視点を全面に出して書きました。インタビュアーが前に出過ぎという批判を甘んじて受けましょう。
 でも、彼らの音楽は、本当に魅力的です。手に入れたCDを聴き続けても、あきることはなく、頭の中でリフレインしています。やっぱり、いいんです! (松野敬子)

2_5